気温や季節の変わり目って、自然と意識せずともひとの味覚も変わりますよね

もうずいぶんと朝夕が涼しくなってまいりましたね。残暑はいつまで続くんだろう?と思っていたのも毎日忙しく動いているとそんなことも忘れてしまい気付いたら既に秋になっていた、毎年そんなもんです。

経年で無垢な白からくすんだクリーム色に変色した職場の壁には画鋲で止めた業者さんに年の暮れに毎年もらう特大サイズの気の利いた挿し絵のひとつもないカレンダーがぶっきらぼうに掛かっている。

それに目をやれば、月や日付の他にも季節の変わり目を知らせてくれる昔のひとが考えた『立秋』など便利な言葉が書いてあるのに大体のひとは自分の肌感覚で季節を察知しようとするので、先人の知恵もなにもあったもんじゃない。

それとは別にもう1つ季節を察知しようとする器官がひとの体にはある。タイトルにも書いた通りそれは『ひとの舌つまり味覚』なんです。

先週末は店内もまだかなり蒸し暑くクーラーを入れないと休憩時間ですら、うだってしまうので適温まで下げたヒンヤリとした室内でぼくはお金を払って久しぶりに『痺れる・汁なし坦々麺』をすすっていた。

この商品はぼくが企画し〝今年の夏のメガヒット商品〟となったのですが、ラー油作りも自分で担当してるのもあり、やはりたまには実際に食べて味を再確認したくなるものです。

真四角な平皿にこんもりと盛り付けられたつけ麺用のマルちゃんの太麺とシャキシャキした食感の水菜。甜麺醤(テンメンジャン)と砂糖で甘めに味付けされた黒みがかった挽き肉と香ばしいカシューナッツがアクセントになっております。

自家製ラー油と一緒にお皿に敷いてあるのはゴマダレですので、ただ辛いだけのマゼソバではなくコクとほんのり酸味も効かせてある。

脇にあるのはピリリっと鼻を抜ける辛さを演出してくれる花山椒のミルとこれまた自家製のラー油です。要はお好みで味を変えながら、お客さまにお食事を楽しんで欲しいというささやかな気配りもお盆にのせていると思っていただけたら嬉しいですね。

そしてマゼソバだけではちょっと物足りないし、白いご飯も食べたいお客さまには『温玉付き追いご飯』もあるので、麺がなくなったお皿に残ってる具材と熱々のご飯の中央にトロトロの温泉卵をのせれば立派な坦々麺のミニ丼のできあがりです。

お箸の先で温泉卵の濃い黄色をした卵黄を軽く混ぜればマゼソバの時とはまた違った辛味の中にもまろやかさがある優しいお味になるという寸法なのだ。

暑い時期には熱いものを摂ったほうが体を冷やさなくて良いとはわかっているものの、食べたいものを食べてしまうのが心情ですよね。

そして日本では秋が近づいて食べたくなるもののひとつに『戻りカツオ』が数えられます。

良く切れる出刃庖丁でおろしたばかりの赤々とした身のカツオは、ネギ生姜でサッパリと刺身で食べても旨いのですが、ぼくはやはり表面をかるく炙ったカツオタタキをミョウガと一緒にポン酢で食べるのが好みです。

鉄串を扇の形で刺した戻りカツオをハイカロリーなガスコンロの強火で炙ると身から出る脂がパチパチと弾け、周囲には香ばしい焼き魚特有のいい匂いがしてきます。

ただ鉄串に刺して炙ってしまうとその火で身が縮むため皮が裂けたりするので、板前さんは皮目に数カ所あえて穴を開け皮が焼けても大丈夫なようにひと工夫してくれるのです。

そんなひと手間もふた手間もかけたカツオをお刺身用の柳刃包丁で切っていると、そりゃお客さまに喜んでもらえるようキレイにお皿に盛り付けたくなるってもんです。

四季のある日本に生まれて、その時期の活きの良い旬の素材を美味しく召し上がってもらう。

そんな意味合いを込めて弊社の経営理念は、

活旬美味(かっしゅんびみ)

という造語を作り日々お店で働かせてもらっています。お後がよろしいようで(笑)

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